映画「ラッキーさん」の感想

とある製造会社の社長秘書に若くして抜擢された小林桂樹が主人公です。

彼が仕える社長を演じていたのは、なんと河村黎吉だった。

森繁久彌と河村黎吉のコンビによる『三等重役』の前日譚みたいな映画だった。

日本映画データベースによると『ラッキーさん』の公開が1952年2月21日だった。

『三等重役』が同年5月29日、『続三等重役』が同じく9月4日だった。

きっと『ラッキーさん』が好評だったのを受けて『三等重役』が製作されたのではなかろうか。

『三等重役』はその後『社長シリーズ』へと続いていく。

目一杯力んで会社の中で出世するのがよいのか、うだつが上がらなくても平々凡々と生きるのがよいのか。

私もサラリーマンなので見ていて、身につまされるシーンがいくつかあった。

会社の創業者一家に生まれた娘を杉葉子が演じていた。

少しは恋心を抱いていた小林桂樹に向かって、「私はブルジョワの家庭に入るの。あなたも刻苦勉励し出世して」 と告げ、親が勧めるエリート銀行員と結婚していった。

青春と訣別しなければならない女性像だった。

コメディではあったが『三等重役』や『社長シリーズ』のようなイケイケの脳天気さとは異なり、とてもほろ苦い映画だった。